奈良県天理市の鑑定評価
天理市の不動産鑑定に精通した不動産鑑定士です。日本アプレイザルネットワーク株式会社香芝支店は公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会の会員であり、奈良県天理市をはじめ全国の最新の取引事例、賃貸事例を収集することが可能です。
弊社は、不動産鑑定士としての専門性とネットワークをベースに、奈良県天理市をはじめ全国の不動産鑑定評価を得意としております。天理市の不動産定評価でご相談があれば、日本アプレイザルネットワーク株式会社香芝支店まで、お気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。
以下は、以前、天理市の不動産鑑定評価を行ったときに地域要因の分析で記載した文章の一部です。
① 市区町村の概況
天理市の市域面積:86.37平方キロメートル
人口密度 792人/平方キロメートル
a. 沿革
天理市は奈良県北中部に位置し、東西約14.9km、南北約10.6km、86.37k㎡の市域を有する。市域西部は奈良盆地の中東部にあたる平坦地、東部の2分の1強は大和高原に属する。昭和29年に山辺郡丹波市町、二階堂村、朝和村、福住村、添上郡櫟本町、磯城郡柳本町が合併して市制が施行された。市名の由来である天理教本部が存し、この関連の事業が市の産業の基盤。
市街化区域は市域の約14%、このうち約67%が住居系の用途地域でそのほとんどが中高層専用および住居系である。また商業系は約10%、工業系は約23%で、一市完結型ともいえる。古代の息吹を感じさせるとして観光資源になっている「山の辺の道」が大和高原西麓の平野部との境付近を南北に走っており、この周辺151.9haは古都保存法の買い取り対象となる第1種風致地区に指定されている。また高度地区指定はない。
駅への徒歩圏近郊など利便性の高い地域では、住宅需要は残っているが、駅から離れた利便性の悪い住宅地では需要は極端に減っている。これら利便性の劣る地域では、価格を下げても需要が追いつかずに売り物件として長期間放置されるケースも見受けられる。長期間放置された物件での価格下落は大きく、敷地規模の小さい建売住宅などでは中古物件価格との価格差がなくなる程度まで価格低下したものもある。
b. 人口の状態
人口、世帯数は下記のとおりである。
人口65歳以上の高齢化率は、平成23年10月時点で20.5%であり、県の数字23.5%よりも低い。市内の平均年齢は42.1歳で香芝市に次ぐ県内2位の若年層に位置している。
c. 交通施設の状態
鉄道網は近鉄天理線、JR桜井線に2路線が奈良駅方面から通っている。近鉄天理線の駅は、「二階堂」「前栽」「天理」、JR桜井線の駅は「櫟本」「天理」「長柄」「柳本」である。「天理」駅が両線の駅として合体した形で作られており、天理市内の中心部に位置し、ここから天理教本堂に向かう天理本通商店街が始まる。
JR桜井線は本数も車両数も少なく、沿線交通手段の要所となる鉄道とはなっていない。ただし、奈良市から桜井市までを走っているので、沿線駅の既存住宅地の住民や学校関係者の通勤通学用に利用されている。近鉄天理線の「二階堂」「前栽」が戸建住宅やマンションを中心とした住宅地として発展している。
市域外ではあるが近鉄橿原線が西部に走っており、当該路線の「平端」駅から分岐して「二階堂」駅につながる近鉄天理線が「天理」駅まで延びている。近鉄橿原線は奈良市と橿原市を結ぶ主要幹線で、両市から大阪方面へアクセスすることができる。「天理」駅から「大和西大寺」駅経由で大阪の「難波」駅まで所要1時間程度である。
d. 道路整備の状態
主要幹線は名阪・西名阪自動車道、京奈和自動車道、国道24号線、25号線、169号線が走っている。名阪・西名阪自動車道は近畿圏と名古屋圏を結ぶ大動脈であり、名阪国道は無料ということもあり車の通行量は非常に多い。西名阪自動車道路は大和郡山市との市境を走っており、沿線には工業団地や市場などの商業施設がある。京奈和自動車道は国道24号線のバイパスとして奈良から橿原市まで開通している。名阪・西名阪自動車道及び国道24具線沿線と共有したインターチェンジである大和郡山インターチェンジは天理市との境界にあり、天理市内の国道24号線沿線と国道25号線沿線は路線型の商業施設が充実している。国道169号線はJR桜井線と並行に走る道路であり、商業施設は少なく商業繁華性は低い。その他、市内には名阪・西名阪自動車道の「天理」インターチェンジが奈良市との市境界にあるほか、「天理東」と山間部に「福住」のインターチェンジがある。福住には工業団地があり、その他にも名古屋までの山間部には工業団地が多く、名阪自動車道はトラックなどの工業車両の通行が多い。市内の各道路は、中心市街地内は古くからの宅地化していたこと、またその周辺部はもともと農地地域であったところに小規模の住宅開発がスプロール状的に進んだ為、街路配置も錯綜しているところが多い。現在天理環状線などの準幹線を中心に都市計画道路の整備も順次行われている。
e. 供給処理施設の状態
上水道は100%普及している。都市ガスは、大阪ガスにより主に中心部の世帯に供給されている。
下水道は、21年度末の普及率は、98.4%(公共下水道・農業集落排水・合併浄化槽の合計)であった。その後の整備で公共下水道は平成23年6月時点で計画区域の99.3%まで進み、農業集落排水は事業完了している。
f. 商業施設の状態
当市の主要な商業地域は、近鉄下田駅及び五位堂駅周辺を中心とする地域であり、近年は下田及び西名阪道を中心とした国道168号沿いに新規出店が見られる。五位堂駅北側の商業地は、背後地の真美ヶ丘ニュータウンの人口増、五位堂駅前北土地区画整理事業(計画面積15.08ha)の完了、五位堂駅北第二土地区画整理事業(計画面積17.6ha)の進展、近鉄急行の停車の実現等で、商況は今後活発化していくと考察される。
g. 商圏及び顧客の状態
旧来の商業の中心地は天理教本社の参道にあたるアーケード商店街(天理本通商店街)である。天理教の祝祭日(毎月26日)には全国から信者が集い、当該商店街を中心に天理市は門前町としての繁華性を維持してきた。しかし、小売店舗中心の近隣型のアーケード商店街は衰退の傾向にあり、近年は空き店舗がかなりの数にのぼり、代替え店が参入できないくらいに商業性の停滞が目立つ傾向にある。飲食や衣料関連業種は郊外型の路線商業施設が国道24号線や国道25号線沿いに建ち並び、国道背後地の住宅地を中心とした消費者を商圏として取り込んでいる。天理市内では、イオン天理SCが大型商業施設として2002年に開業し、さらに2010年には大和郡山市の天理に近い国道24号線沿いに大型イオンモールが開店した。天理市からも交通網が便利であるために多くの人がショッピングに訪れており、天理市内の路線商業施設の売上げは低迷傾向が強くなっている。
h. 将来の動向・その他
開発地域も「櫟本」や「柳本」駅近隣の市内周辺部の分譲が行われている程度で、住宅地の開発や分譲は比較的少ない。他の市町と同様に全地域、全地点において下落傾向を示しており、不動産不況の一般動向に併せて需要動向は低迷しつつある。新築住宅の供給は戸建住宅中心で、市中央部の「前栽」駅周辺及び堂島町周辺に多く、45坪程度までの土地付きで、3千万円程度の物件が需要の中心であった。しかし、景気の低迷で所得水準が下がり、また、安売り専門業者の住宅開発が進展するなどから、土地は30坪以下で2000万円~2500万円迄の建売住宅が中心となった。持家率は約61%(H20住宅・土地統計調査)で、全県の約73%より低くなっている。
〔不動産市場の特性〕
住宅地は天理教関係の事業や中小事業所、交通の要衡であることから進出したシャープ総合開発センターといった大規模工場等の従業員の受け皿として中小規模の住宅開発が行われてきた。しかし、当該経済状況の不況からこのような中小規模の住宅開発は非常に少なくなっている。天理市では中小規模の住宅開発が中心であり、中古流通は少なく、新規のミニ開発の建て売りが中心の不動産市場である。
商業地の取引は非常に少なく、賃貸収入目的の不動産物件はほとんど見当たらない。天理駅周辺では10年程度前に賃貸マンションが続々と建設されたが、現在これらの空室や賃料の低下がみられ、地域的な衰退傾向も生み出している。
工業地は市域南部に地元企業の中小企業が存するが、景気の上向きが見られない地方経済の沈下状況を反映して、新規の工場進出はみられない。福住の工業団地に200人程度のプラスチック工場が進出することが報道されたが、不動産需要には大きな変化は与えることはない。シャープの総合開発センターも電機業界の不況により規模を縮小しており、市内の賃貸不動産需要に大きなダメージを与えている。
天理市の不動産鑑定評価については、弊社までお気軽にご連絡下さい。
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